【映画レビュー】スリー・ビルボード|容赦なく観ている人の先入観を裏返しまくる作品

みなさんこんにちは、裏も表もある人間のモズークです。

今日は予告編だけでは全く内容の予想ができず、気になっていた『スリー・ビルボード』を観てきました。結論から言うと、控えめに見て傑作です。皆さんもぜひ観ましょう。それではまた。

というわけにもいかないので、ネタバレなしで(本当?)感想っぽいものを書いていきます。でも節々にネタバレっぽくなってしまうと思うから、まずは映画館で観ましょう。

この先はネタバレっぽくてもいいよという人か、もう観た人が読んで下さい。

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人間というクソとミソを混ぜ合わせた存在

とにかくこの映画は、登場人物ほぼ全員がクソとミソを混ぜ合わせたような人物描写がなされています。しかも最初の登場シーンで観てる人が最初に抱くであろうイメージをことごとく裏返してきます。

つまり最初は善人だと思った人物が悪人の要素も持っていたり、何も考えてないチャラいだけと思っていた兄ちゃんが大きな優しさを見せたり、正義感があると思った人物が組織の犬だったり、頭の悪そうな空気読めないお姉ちゃんが教養があったり、とにかくほぼすべての登場人物が先入観をぶち壊していきます。

でもこれってわたしたちの日常でも思い当たることです。外面はやさしそうな人だけど家庭内では暴力を振るう人や、にこやかな営業マンほど人を騙していたり、平和が大切という人ほど暴力的だったり。

こういう二面性を持つのは人間なら誰でも持っている当たり前のことです。完全な善人や完全な悪人などいません。でも本音はそうでも建前では、まして映画というわかりやすいキャラ付けが重要なもので、はなかなか二面性を描くことはしません。

ところがこの映画は登場人物ほぼ全員が表と裏という二面性を持っていて、しかも説明的な演出無しでさらっと表現してしまいます。漫画などでは悪役の二面性を表現するために、わざわざ過去編とか描いて冗長になるものもあります。ですがこの作品はシチュエーションをきっかけにガラッと人間の表と裏をひっくりかえしてきます。

なかなか唸る脚本と演出だと、震えながら観ていました。

アメリカの社会問題の縮図

物語はアメリカの小さな町の中で進みます。そこにはドラッグ、レイプ、殺人、黒人差別、人種差別、外人差別、外見差別、横暴で怠慢な警察組織、DV、LGBTなど、およそアメリカ社会での問題全てが日常的にあります。

ですがこの問題をどうにかしようなどという、そんな道徳的な意図は感じません。この映画ではこの町の当たり前の世界観として、ただそこにあるのです。良いも悪いもない。そう、ただあるだけ。

そしてアメリカの問題が日常的にあるというカオスな世界観に、登場人物が絡み合い裏と表をくるっくるとひっくり返しながら織りなすストーリー。まさにクソだけどこの世界で生きていくしかない、人間社会というものを描ききっています。なかなか凄いことをやっているなと震えました。

最後は作品自体も裏返す

そんな感情と人間関係をほどいたり絡めたりしながら、ストーリーは終盤へ向かい収束していきます。圧巻なのはエンドロールが始まる最後のカット、たった2カットで今までこの作品自体も裏返ります。憎しみが憎しみを呼ぶ、終わりのない復讐劇からの裏返りです。

この演出には寒気がしました。いままで観ていた作品がたったの2カットでひっくり返ってしまったのです。しかもババーン!!ここで切り替わったよ!という派手な演出無しでさり気なく裏返る。あ、いまここでひっくり返った・・・?という感じです。

そしてその余韻のままエンドロールへ。しばらくは動けませんでした。呆然として気付いたらエンドロール終わっていました。なにこれ傑作以外言うことないじゃん。まさにそんな作品でした。

もちろんこの最後の裏返りをするために、小さな裏返りがドミノのように連鎖していくのですがそこもなかなかの見ものです。特にオレンジジュースのあたり。

そんなわけで『スリー・ビルボード』オススメです。

スリー・ビルボード 総評

ストーリー:非の打ち所がないです20点
演出:ほんとうにさりげなく変わる心象などが憎い20点
配役:無駄な人物がほとんどいないしみんな適役20点
映像:この映画に派手な映像はいらない20点
音楽:流れてくるやさしい音楽が作品にマッチしすぎ20点
総合:これもう100点でいいでしょ

いやはやすごい映画を観ました、ありがとうございました。

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