【映画レビュー】この世界の片隅に|大きな流れの時代の中で夢をみていたような作品

こんにちは、モズークです。
今日は片渕須直監督、のん主演の映画この世界の片隅にを観てきました。

この映画いろいろなところから凄い映画とは聞いていたのですが、近場の映画館では上映していませんでした。
遠出していつか観に行こうと思っていたら近所の映画館でも上映されることになったので早速観てきました。
映画を観るまでは予備知識無しで見ようと思っていたので、詳しい内容は調べずに行きました。

観終わった直後の感想は「夢をみていて起きた直後のような気持ち」というところでしょうか。

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どんな状況でもたくましく生きる日常

この作品の時代背景は日本が太平洋戦争を戦った期間とほぼおなじ時代です。
そのためこの時代を扱う作品の多くは国の正義とか、政治がどうとか、軍の責任とか、民族の対立とかそういう話になりがちです。

しかしその時代を生きていた人たちにとってはそんなものは関係ない日常があります。
どんな境遇でも人間は生きていくために食を得て人と付き合い、恋をし家族を守っていかなければなりません。
世界情勢、社会情勢がどんな状態であろうとも人間は日常にして生きていくのです。

この作品はそんな大きなうねりの中でも笑いを絶やさず、懸命に生きていく人々の力強さというかたくましさが描かれていました。

悪夢ですらただ受け入れるしかない日常

そんな日常の中でも戦争という時代背景では悪夢も訪れます。
どんなにあがいても、どんなに気をつけても愛している人や親しい人の死は突然現れます。
誰かが悪いわけでも間違ったからでもなく戦時下では人の死でさえ日常になります。
しかし誰が死のうが誰がいなくなろうが家がなくなろうが、それでも生きるためには日常を続ける歯科ありません。

わたしはそんなシーンを観て、まるで自分が夢をみながら何も感じずに観察だけしている感覚になりました。

楽しいも悲しいも嬉しいも現実も空想もすべてがフラットになる

主人公のすずはおっとりのんびりした性格で、どこか空想癖のあるような現実と夢との区別がつかないような女性です。
そんなすずの視点から語られるこのストーリーはどこが空想でどこが現実かわからないような世界を描きます。
みている最中に戦時下であることが現実なのか、空想の中なのかたまにわからなくなるのです。

そのため途中から、今の場面は現実なのか空想なのかということは考えないことにしました。
ただすずたちの生きる世界を眺めようと思ったからです。
それはまるで夢の中では意味付けを持たず、ただ観るだけの状態にも似ています。
そうすることで悲しい辛いという感情が、楽しい嬉しいと同じ価値であるかのようにフラットに感じられるようになりました。

流れる映像に身を任せること

この映画は見る人の価値観や考え方によってどうにでも形を変える作品です。
かたよった思想のフィルターを通すことによってある立場の側から利用されるかもしれません。

しかしあえて中庸な目線でみることを望みます。
そして流れる美しい映像を目に飛び込んでくるままに受け取ること。
それは現実でもあり夢でもありおとぎ話でもある、この映画を楽しむために。

この世界の片隅に 総評

ストーリー:夢と現実の曖昧さのなかで生きる人々の日常に心を打たれたので18点
演出:すずの描いた絵や空想がそのまま現実に染み込んでくる感じが良い17点
配役:のんはよかった、のんだからよかった18点
映像:温かみのあるタッチや背景が悲劇ですらフラットに見せる映像17点
音楽:重要な場面以外ではほぼ劇伴がなく、規制のあるテレビではできない映画ならではの音響が良かった20点
総合:90点

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