【書評】買いたがる脳

買いたがる脳
なぜ、「それ」を選んでしまうのか?

デイビッド・ルイス 著
武田玲子 訳

人間はこうも環境に影響されやすく、途切れなく無意識に及ぼすマーケティングに驚きと恐怖を覚えた

おすすめ度 ☆☆☆☆☆

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サブリミナルは知っていたけれど

広告業界は昔から人間の意識下、無意識下にかかわらず数々の広告や意識誘導を行い消費者の購買欲を高めようとしてきました。有名なのは映画のフィルムに普通には認識できない短い画像を組み込んで、みている人の無意識に作用させようとするサブリミナル効果があります。これは人々の不評を買い、広告業界や多くの企業は使わないことを宣言しています。しかし認識できない画像は使わないと言っていますが、認識できる画像を短い時間見せるという方法はよく使われます。無意識なら駄目だけど意識できるならいいよね、というつもりでしょうが効果は同じくらいあると思います。

このサブリミナル効果は有名でわたしも知っていました。しかし広告業界のマーケティングはさらにさまざまな試行錯誤を繰り返します。本書はそのような隠されたマーケティングの歴史が詳しく書かれており、たいへんためになる良書です。

テレビショッピングの手法は効果に裏付けされている

テレビショッピングって独特な感じがしませんか?

まず困った人の体験談を語り、そんなあなたに!と商品を紹介。これを使えば困った症状はたちまち解決するかのようなエピソードが流れ、使用した人々の喜びの声が流れますそしてこんな素晴らしい商品がこんなに安く買えますといった次の瞬間、ちょっとまった!!と言ってさらに安くなる。しかも今ならさらにもう一つおまけがついてこの値段とお得感を出します。そしていまから30分限定、商品の残りもあとわずか!お電話お待ちしていますと制限時間と品薄感を漂わせます。そして電話番号は軽快な音楽に乗せて覚えやすい語呂合わせでフィニッシュ。

細部は違えどテレビショッピングはおおよそこんな作りになっていると思います。それは本書を読めばなぜこんな作りになっているのかもすぐわかります。

  • 人間は不便やトラブルを解決するためにお金を出しやすい
  • 使用者の声があると安心する
  • もともと値段が上乗せされていても値引きされるとお得に感じる
  • 時間を区切られると冷静な判断を失う

テレビショッピングはこれらの消費者心理をこれでもかと利用して作られています。テレビショッピングが昔からずっとこんな感じなのは効果があるのでしょう。本を読んでからテレビショッピングをみたらまんまじゃん!って笑ってしまった程です。

騙されないためと上手く利用するために

はっきりいって広告業界のマーケティングはそこらじゅうにあり、街中にもネットにもテレビにも溢れています。視覚、聴覚、嗅覚、触覚などを利用してわたしたちの意識に働きかけ、24時間マーケティングをしてきます。その徹底した執拗さに気付くと恐怖にさえ感じます。

本書を読めばその手法を数多く学ぶことができるので、それなりに防御することができます。それでも人間は外部からの情報を無意識で受け取ってしまうので、完全に防御することは不可能です。巧妙な広告やステルスマーケテイングに影響されたと気づかないまま商品を買ってしまうことも仕方がありません。無理に騙されないようにと疑心暗鬼になるよりは、気分良く買い物をしたほうが良いのかもしれません。

そして裏を返せばこれだけ成功している手法を身につけることができれば、こちらがマーケティングする立場になったときに強力な武器になります。悪用はいけませんが上手く利用すれば、アフィリエイトサイトを作るときなどに役に立つでしょう。また投資家の視点で見れば、上手いマーケティングをしている企業は利益を伸ばすことができる可能性が高いので投資対象としてピックアップすることもできます。

本書を読むことで、それほどまでにマーケティングの歴史は長く深いものというのがわかりました。興味をもったなら、ぜひ読んでみてはいかがでしょう。

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