【書評】マネジメント 基本と原則

マネジメント【エッセンシャル版】
基本と原則

P.F.ドラッカー 著
上田惇生 訳

企業家であれば必読の一冊
個人投資家の視点からでも企業選別に役に立つ良書

おすすめ度 ☆☆☆☆☆

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もっと早く読んでおけばよかったと後悔

昨年末にウェッズからいただいた株主優待のクオカードでこの本を含め数冊を書店で購入しました。一度読んでみて目からウロコが落ちまくり、もっと早く読むべきだったと後悔したほどの内容でした。

この本の内容は主にマネジメントとは何か、マネジメントはなぜ必要か、マネジメントの実践について書かれています。そして著者のドラッカーはマネジメントなしに組織はないと言い切っています。

企業は中小企業から大企業まですべて組織の集合体です。その組織がマネジメントなしではありえないのですから、企業にはマネジメントが必要であることは明白です。

マネジメントとは何か

ところでマネジメントとは何でしょうか。

わたしも本書をやっと一周読み終わったところです。なのでこれから繰り返し読んで理解を深める必要はありますが、簡潔に言えばマネジメントとは組織及び企業を成り立たせるための基本原則です。

  • 企業は顧客の満足やニーズに答えることが本分である
  • 企業は新しい満足やニーズを生み出すことが本分である
  • 企業はその事業を通じて社会貢献をすることが本分である
  • 企業にとって利益は追いかけるものではなく、事業を存続させるために利益を得ることは当たり前のことである
  • 企業家はすべてリスクを負って新しい価値を生み出す必要がある
  • 新しいことに挑戦しない企業はやがて陳腐化し衰退する
  • 多角化を勧め安定を求める大企業はやがて衰退する

など企業や組織についてドラッカーはわりとバッサリと断定します。ここらへんは読んでいてなるほどと思わされるのと同時に、あまりにもあっさりと言い切るので痛快でもありました。

すべては顧客の求めるものからはじまる

企業の役割は社会貢献であり、顧客のニーズを満足させることである。企業は何を売るかではなく、顧客が求めているものを売る。

これなどはまず顧客のニーズありきで企業は事業を行うということです。顧客が求めていないものはいくら優れていても売れないし売る必要がないのです。誰にも求められていない製品、商品を作り続け押し売りするような企業は正しく企業ではないのです。

これでわたしの頭に思いついたのは現在のテレビ局です。スポンサー目線で視聴者の方向を向いていない、視聴率だけを気にしたくだらない番組。

しかも既存特権である電波使用権のせいで新規の放送局は入り込めません。そのためより番組内容を良くしようとする競争が起きず、すでにテレビ局は陳腐化しています。

テレビ局が公共の資源である電波をムダに使うくらいなら、電波を国に返却し空いた周波数帯を通信で使うようにし番組をネット配信したほうがいいでしょう。これこそは顧客が求めていないものを企業が押し売りし、公共の資源を無駄遣いしているマネジメントされていない状態といえるでしょう。

また最近話題になったキュレーションサイトを運営していたIT系会社もそうです。あの会社も顧客であるネットユーザーに正しい情報を与えることよりも、コストを掛けずに利益を得ることを優先しました。

そのように顧客の求めるものを考えずに利益を追求する会社の存在は間違っています。そんな企業が存在してしまうことを防ぐためにも企業家精神およびマネジメントは必要なのです。

個人投資家の視点で読んでも役に立つ

この本は個人投資家であるわたしの視点で読んでも、参考になる箇所が多くあります。上記のように利益を追求し顧客を軽視する企業は投資対象としてはもちろんふさわしくありません。

また多角化や事業の拡大でフットワークの重くなった会社は避けるべきです。ドラッカーも多角化よりも集中と選択、分社化などでやるべき事業の明確さを重視しています。これは大企業を避け中小企業に投資したほうが、良い結果になる場合が多い理由のひとつであると考えられます。

このように、この本を読んでマネジメント及び企業家精神に明るくなっておくことは、投資対象の選別においても非常に役立ちます。

ドラッカーについては本人の著書を読むのが一番

いまはとりあえず一通り読み終えたばかりですが、これからも継続して繰り返し読み続ける価値のある一冊です。

実はわたしはドラッカーの名言や主張の要約を、他の著者がまとめたビジネス書籍などは読んではいました。そのような本を読んでもなにがいいたいのか分かりづらく、あまり意味がわかりませんでした。

しかし今回本書を購入し読んだ結果、ドラッカー本人の著書が一番分かりやすかったというオチでこの話を終わらせていただきます。

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