【書評】ジブリの仲間たち

ジブリの仲間たち

鈴木敏夫 著

ジブリ作品をどのように売ってきたのかがよく分かる
やはり宣伝広告は重要だと再確認した
もっときわどい裏の話もあればよかった

おすすめ度 ☆☆

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ジブリのヒットの裏側

本著はスタジオジブリ作品のプロデユースをしてきた鈴木敏夫氏の側から見た内容になっています。
スタジオジブリといえば説明するまでもないですが、日本のアニメ映画制作会社としては異例のヒットを飛ばしてきたスタジオです。
しかし実際はとなりのトトロまでそれほど成功しているわけではなく、制作費をペイするような興行収入には至っていませんでした。

一般的に映画作品の制作会社へのリターンは興行収入の25%といわれているそうです。
風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、となりのトトロ+火垂るの墓は制作費がリターンを上回っている状態でした。
そもそもアニメ映画とはそんなに儲かるものではなかったのです。
それに加えて当時は映画自体が斜陽産業であるため、まず制作費は回収できるような状況ではなかったようです。

しかし魔女の宅急便からジブリは急に興行収入をアップさせることに成功しました。
その秘密は宣伝広告にありました。
ヤマト運輸のタイアップ、日本テレビの出資協力、番組での宣伝が成功してアニメ映画では異例の大ヒットになったのです。

たしかにスタジオジブリの作品は素晴らしいものです。
しかしやはりどんな素晴らしい作品でも、宣伝広告にお金をかけて消費者の目にとまり、記憶してもらわなければヒットしないのです。

最初に映画館でみたのは紅の豚

わたしがはじめて映画館で見たジブリ作品は紅の豚でした。
風の谷のナウシカは小学生のころに親戚のお姉ちゃんがパンフレットを見せてくれたぐらいしか記憶がありません。
そのお姉ちゃんはアニメの作監などをチェックするような濃いオタクでした。
いまではわたしもその仲間ですが。

ラピュタやトトロは金ローで観た口です。
紅の豚の上映当時はわたしはオタクの入り口に立っており、角川のアニメ映画なども観に行っていました。
そのためナウシカやラピュタの派手な映像やストーリーに比べて紅の豚はこじんまりとした話という印象でした。
今では一番好きな作品ですけど。

今振り返ると紅の豚は見る人を選び、老若男女に受けるような作品ではありません。
ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女の宅急便のジブリの新作という肩書がなければそんなに流行らない映画でしょう。
それでも制作費9億に対して興行収入54億で数字の上では大成功を納めています。
やはりここでも広告宣伝に力を入れた成果が出ているのです。

このようにスタジオジブリの作品をヒットさせるために莫大な広告宣伝費をかけるようになっていきます。

本当に知りたいのはもうちょっと黒いジブリの話

全体的にこんな調子でこの映画には宣伝費いくらかけたとか、どういう宣伝をしたのかということがつらつらと書かれています。

しかしわたしが知りたかったのは、鈴木敏夫氏のプロデユーサーとして知っている裏話や黒い噂のほうでした。
宮﨑駿監督の引退するする詐欺とか、連れてきた若い監督に逃げられちゃった話とか、宮崎駿氏の息子の宮崎吾朗氏とのあれこれなんかを知りたかったのです。
そこらへんがほとんどなくスルーされていたので、少し拍子抜けではありました。

この本で書かれているのは、例えるならきれいなジブリ史です。
最後のほうではちょっと匂わせる程度は書かれていますが、もう少し突っ込んだ話が読めたらなとは思いました。

それでもやはりどんなにいい作品でも宣伝広告をちゃんとやり、認知度をあげないと成功することはない。
よく知っているジブリ作品を通じて、そこがよくわかったので読んだ価値はありました。

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